- 京都新聞にコラムが掲載されました
- 18.06.28
-
6月28日(木)朝刊11面(医療面)に当校小田学院長のコラムが掲載されました。また同時に京都新聞WEB版にも掲載されています。
『政策医療と看護師の今後』というタイトルで、■地域包括医療システムの構築■訪問看護師の不足■国としてのフォローの必要性
これら三つのテーマを統合した形で述べられています。
健康コラム 京都看護医療予備校 学院長 小田泰之
「政策医療と看護師の今後」
■地域包括ケアシステムの構築
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2025年が近づき、生産年齢人口の減少が顕著となっています。国は30分以内で必要なサービスを受けられる地域包括ケアシステムの早期構築を進めており、在宅医療の充実・多職種医療介護チームとの連携・生活地域のコミュニティとの連携を掲げています。つまり、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる地域の包括的な支援・サービス提供体制です。しかし急性期(含む高度)・回復期・療養、介護サービスなど複数の機能を持った病院は限られており、患者は治療段階に応じた病院へ移ることが必要で、最終的には在宅での療養を目指しています。
■不足している訪問看護師
在宅での療養に欠かせないものが、かかりつけ医と訪問看護です。特に、訪問看護師の役割は大きく、在宅に移った時に訪問看護師の体制が整っていないと、十分なサービスが受けられません。文部科学省は大学の看護教育において2017年10月末に「看護学の教育モデル・コア・カリキュラム」の策定に至りました。その中に地域包括ケアシステム、チーム医療連携、安全管理を踏まえた一定の教育レベルを担保していくよう指針を示しました。今年4月に医療・介護の診療報酬のダブル改定が行われ、高度急性期の病床数を減らしていくといった背景もあり、高度急性期病院の看護師は充足に向かうでしょう。しかし、訪問看護が可能な看護職やセラピストの就業者数にいたっては絶対的に不足しています。京都府や京都府看護協会においても、既存の看護師からの転向だけではなく新卒訪問看護師の育成に努めていますが、人材を確保するのが厳しい状態であり今後の課題としています。
■国としてのフォローの必要性
社会保障費が膨らんでくることにより、介護保険料が上がるなど国民の負担が増えてきています。2050年にはひとりの現役世代がひとりの高齢者を支えていかなければならなくなる「肩車型(1対1)」の社会になると予想されます。看護師にもそれぞれ家族がある一方で、サポートしていく患者数も増えていくことになります。国として指針を示すだけではなく、各市区町村や病院へ対してのフォローが必要だと感じています。看護職は患者とその家族に一番近い存在の医療スタッフです。今後、看護師になる方は使命と覚悟を持って取り組んでもらいたいと思います。