京看生の合格率と看護(医療)系入試概況 NEW
20.04.02

2020年3月31日・前年度の在学生(昼間部・夜間部・助産クラス・准看クラス)の最終合格率が100%となりました。京看の合格率は例年95%前後で推移してきました。今回合格率が100%を達成できた理由としてもちろんスタッフのサポートはもとより、在校生の多大な努力がありました。それは例年と変わらない素晴らしいものですが、さらには新型コロナウイルス感染症が拡大するまでの社会・経済環境が大変好調であったことが理由に考えられます。このような環境下では看護・医療系進学者が少なく推移した経緯が過去あります。

 

そこで今回は仮に新型コロナウイルス感染症が拡大した場合、医療・社会・経済環境の激変で看護(医療)系入試がどのように変化するかを推測しまとめてみました。

 

※以下の文章は朝日『看護学部へ行こう』で当校小田学院長が担当執筆した原稿の一部内容・日付・数値等を修正加筆したものです。

 

2020年4月1日現在、世界中で新型コロナウイルス感染症が拡大しWHO(世界保健機構)がパンデミック(感染症の世界的な大流行)宣言を出しています。現在AFP通信によると世界中で4万人以上の死亡者と80万人以上の罹患(りかん)者が出ており、このような状況下2020東京オリンピックの開催は一年延期されることが決定しました。世界中を震撼(しんかん)させている新型コロナウイルス感染症の影響で社会は一時的に混乱していますが、皆さんにとって重要な来年度の入試は余程のことがない限り実施されるでしょう。さて来年の4月、みなさんが看護学部に在籍するには、まず入試に合格することが絶対的な命題となります。冒頭にも触れましたが今、世界中で新型コロナウイルス感染症の拡大により多大な死亡者や感染者が世界中で増加し、欧米諸国ではロックダウン(都市封鎖)が続いています。元々の発症とされている中国においてもロックダウンすることで感染拡大を抑制した経緯があります。これらの措置により世界では人と物の行き来が滞り、経済に与える影響が相当深刻なものとなってきました。これは日本においても非常に深刻な問題であり、仮に我が国で緊急事態宣言と同時に仮に日本型ロックダウン(欧米の様な強制的なものではない)が実施されるとたちまち国内経済は今以上に失速し膨大な失業者が米国のように出てくる可能性は否めません。新型コロナウイルス感染症の脅威に見舞われる2020年1月頃までは、10%の消費増税で国内消費は若干落ち込んだものの、外国人観光客によるインバウンド消費で宿泊や観光、飲食業は空前の人手不足となっていました。実際、直近の大学生、高校生の就職内定率はバブル期(1989年)を上回る数字が発表され、数字の上では就職環境は過去最高に善くなっている状況でした。わざわざ看護に進学しなくても売り手市場では就職先がいくらでもあるからと看護系の入試倍率は少し低下の方向にありました。しかしながら2008年のリーマンショック後の景気悪化による看護の倍率上昇は記憶に新しいところです。世界的に見ても経済・雇用環境の悪化の際は資格取得できる領域の学部・学科の受験倍率の上昇が見られます。 確かに、12年前2008年のリーマンショックにおける世界的に景気の悪い環境下では一般大学へ進学しても思うように就職先が確保できないということもありました。その後数年間は新卒・中途における就職難が続いたことから看護系受験者は社会人も含め大幅に増加した経緯があります。これに対し直近の経済環境の回復で看護系受験者は若干の減少に転じてきたところに今回のコロナショックです。3月の日銀の短期観測においてもすでに7年ぶりのマイナス数値が出ており、世界経済を見てもIMF(国際通貨基金)の予測は新型コロナウイルス感染症の拡大による世界経済への影響はリーマンショックを上回る可能性が高いと言及しています。これが現実となると非常に大変なことになります。これを踏まえて考えたとき、来年度の看護系受験者は増加しても何らおかしくありません。これを読んでいる皆さんの中にも何か資格を取りたいと考え、数ある資格の中でも将来性や就職の有利さ、さらには経済要因等を考慮した優先順位の中で、看護職をめざすことを決めた人もいることでしょう。このような社会・経済環境下において、やりがいを感じながら社会に貢献し、なお且つライフワークとして安定した職業を考えた時、看護や医療系の仕事は真っ先に候補として挙がってきます。これは上述しましたが日本だけではなく、世界的に見ても同じことがどうやら言えるようです。下の資料をご覧ください。看護系の大学・学部学科別の入学者数(専門学校は含まず)が他学部と比較して毎年の様に増加し、平成13年度~平成31年度の18年間で入学者数が約4.1倍・約17,663人余り増加していることが理解できます。見方を変えれば四年後の就職を視野に入れた受験生は文系学部(文・法・経済・商・経営・社会学部など)への進学をあえて控えてきたと言えるでしょう。

※表①

 

このような受験者の増加傾向は上述の理由以外に、健康や介護など高齢社会への国民の関心はもちろん、生活習慣病の予防のための『メタボリック健診』や『後期高齢者医療制度』など政策医療の改革により医療は私たち国民にとって大変身近なものになったことが看護系志望者増加の一因にもなっています。政策医療の流れを考えても、従来通り病棟でケアを実践することはもとより、地域包括医療システムの下、訪問看護師として在宅患者さんのケアは必要度の高いものとなります。それは経験則に頼るものだけでなく、教養科目を含め患者さんに対してエビデンス(根拠)を持って全人的ケアを実施することが重要となり、医療部分はもとより社会・経済的な側面からもアセスメント(情報収集と理解、予測、判断など)するアビリティ(能力)の基礎的、広角的な学びは今以上に必要になります。さらには、今回のコロナウイルス感染症における看護・医療職の活躍はもとより、9年前に起こったわが国未曾有(みぞう)の不幸な災害となった東日本大震災の報道を通じて、活躍する看護師の姿を見て感動や共感を覚え、看護の道を自ら歩み始めた受験生がいることも追記しておきます。